医薬業界向け錠剤印刷機「APOLLO」
医薬業界向け錠剤印刷機「APOLLO」は、錠剤を半分に割るための割線を認識し印刷できる機能を備え、処理能力は世界最速を誇り、「第33回製剤と粒子設計シンポジウム」で技術賞(川嶋嘉明賞)を受賞しました。本機開発の担当者による、開発ストーリーと将来のビジョン等をご紹介します。
まず、Iは光学系の知識に明るかったわけではないため、光学系の勉強から始まり、検討やテスト・試作を重ね、割線の認識を確実にするための照明技術の開発に2年の歳月を費やし、ようやく1万錠の試験で割線認識100%を実現、試作機は製薬メーカーから高い評価を得ることになる。当時は「刻印」「UVレーザー」「パッド式」印刷が主流で、錠剤への負荷がなく、高精度印字が可能な本機は大きな驚きをもって医薬業界に迎えられた。
複数の試作機を経て、2013年に第一号機を納品。その後、大きな需要に支えられ、2014年に本プロジェクトは「特機事業部」として独立。現在Iは、顧客から寄せられる技術課題を取りまとめ、装置開発・改善に向けた開発コーデイネートする立場である。製薬メーカーへのプレゼンテーションは勿論、学会講演、執筆活動などもこなしながら、新しいスタッフには「錠剤印刷機の一番の理解者」として、自身の経験から得た知識や感覚の伝承を欠かさない。
究極の目標は「誰でも、原材料を投入しボタンを押せば、決まった時間に、高品質の製品を安定して供給できる機械」。京都製作所の開発思想に則り、他社では真似のできない、高付加価値で独自の機械を開発すること…Iの挑戦は、まだこれからである。